第十三話「物流センター関西」
物流センター関西
私は今現在も、そう努めているのですが、常に相手を思いやる気持ちを忘れず、「誠意と敬意」をもって接し、それは一度だけしか接する機会が無いお客様であっても、毎日接する隣近所の方々であろうと、ましてや仕事で接する取引先は人たちは尚の事、「出会い」ということを大切にし、「誠意と敬意」をもってお付き合いすることを心がけていたのです。
おかげで、会社や店舗の移転、拡大や増設等はいつも、近所の物件を所有されている相手様からお話を頂いたものだったのです。
そしてそれは、借店舗の本社に隣接する倉庫付きの土地80坪を所有している会社の代表役員の方から、「間もなく売りに出そうと思っているのだが、どうせなら、貴方に買ってほしい」と言って頂く事につながっていくのです。
その役員さんというのは70歳位で時々朝早くに、私の店の前を自転車に乗ってゆっくりと通り過ぎて行かれる方で、歩いて来られた時は店の前で立ち止まり店の中をのぞき込んだりして、言葉少なく笑顔も見たことが無く、気難しそうな感じで、私はチョット苦手なご主人だったのです。しかし、ご挨拶を交わしていく内に、お話もして頂くようになり、やっと笑顔を見せて頂くようになった直後のお話だったのです。
再出発してからの、初めての不動産購入のお話に心から感謝し、本当にうれしくて、心躍るお話だったのです。
さて購入資金です。このような事態に備えて、信用金庫の5万円から始めた月掛預金も毎月50万円になっていたのです。この積み金も買取商品の仕入れが多い月にはお金が足りず、お客様でよく遊びに来られていた質屋さんに、借金してまでも毎月必ず積立預金をしたのでした。
この積立貯金の実績と数日かけて仕上げた手書きの事業計画書と上申書を、レポート用紙3枚にまとめ、信用金庫に提出し、不動産購入資金を含め、総事業費1億5000万円の融資を決定して頂いたのでした。
おかげで夢のような土地80坪を所有することが出来て、その土地に本社と店舗を建設するに至ったのです。
また、そのお隣の土地80坪の貸倉庫をお借りし総2階で、合計320坪の売り場面積を誇る、関西ではトップのリサイクルショップとなったのでした。
そこには、家庭用の電化製品や家具はもちろんの事、会社用品の事務机や椅子や書庫、ロッカーなど会社や事務所設立には何でも揃う程の商品を展示して、売り場面積が広いということで、最大限の活用をしたのです。またブランド品や宝石、貴金属のコーナーも新設したのでした。
なかでも特に力を入れたのは、飲食店などの厨房品で売価の高い製氷機、業務用冷蔵庫、冷凍庫や大型エアコンなどを展示し、後に「厨房の物流センター関西」と言われるほどになったのでした。
その当時は、大変な資金を投入し飲食をオープンしたものの思惑が外れたのか数か月で閉店されるお店などがあり、それらの片付けに行き新品同様の厨房品などを買い取ってくるのです。
中には椅子テーブルなども一流品で厨房品、エアコンも万全の装備で投資金額も相当なのに、半年や一年で閉店するカフェや飲食店が有ったりして、何故かと、首をかしげることもあったのです。
後に、この仕事は同様の仕事に取り組んだ、息子達にとって良い勉強材料になったのです。