『為に生きる』

第十一話「事業との出会い」

事業との出会い

 

そしてある時、兄に仕事の手伝いを頼まれます、私の進むべき道を左右するような「居酒屋どんどん」の件が有ったのに、兄に対して不平不満を口にすることも無く、不思議と兄弟仲は良かったのです。

 

そこで訪れたのが、リサイクル品の買取専門店「ダイマル」だったのです。この店は主に家具や電化、贈答品など何でも買い取り、道具市場などで売却する商売で、当時大阪ではトップの会社でした。

興味を持った私は次の日から、そのお店に遊びに行き、手伝いをすることとなります。間もなく、出張買取りにも行かせていただくようになり、この商売の面白さを知ることとなります。

 

その時の、収入は半月7万円で月14万円にしかならなかったけれど、仕事を習得したい一心で辛抱するしかありません。まして40歳になる私が20代30代の個性の強い若い人たちに、仕事を教わるということに耐えることが出来たのは、その時すでに目的を見出していたからです。お客様との会話や、体を動かして働くことに飢えていた私は開業資金はそんなにも必要無いであろうし、これから先にはリサイクル、リユースの仕事は、色んな広がりが期待できるのではと、この商売に魅力を感じていたのでした。

 

そして、10ヶ月が過ぎたころ、社長から「そろそろ、自分で商売をしたらどうか」と独立を進められるのです。

私より3歳年下で、心が大きく豪快でお酒が大好きな社長で、この社長との出会いが、この先、長く続く私の商売や事業の起点となったのです。

本当にありがたく、引き合わせてくれた兄とともに、心から感謝したのでした。社長は間もなく若くしてお亡くなりになり、その後の私を見てもらうことが叶いませんでしたが。