『為に生きる』

第十話「楽しい出会い」

楽しい出会い

 

私はどんなことがあっても生活費は入れなくてはならず、朝は行ってきますと家を出ても行く当てもなし、たまたまミナミの繁華街に出かけた時、今まで入ったこともないのだが、パチンコ屋さんの新装オープンに出くわし、ぶらり入ってみる。

すると背中合わせの30人ほどのお客さんの2割から3割ほどの人がパチンコ台の下に大きな箱を置き、ざくざくと球を入れているのです。次の日も行ってみると勝っている人がいつも同じ人達、同じメンバーだと判るのです。

いわゆる、パチプロといわれる人たちで3人組だと気が付きます。そして、数日後には3人組は4人組となりその一員となっていたのです。勤務時間?は、午前10時から夕方6時までの8時間労働と決め、グループでの食事、お昼休憩もあります。1か月で30万円から40万円位稼ぐことが出来たのです。

 

頑張ってくれている妻には、時々お土産に980円のワインのボトルを、なんば千成屋で買って帰るのです。もちろん子供たちにもお菓子のお土産も忘れません。生活費も心配なく渡すことが出来たので、何とか信頼関係は維持できていたようです。

 

しかし、いつまでも、このような生活を続ける訳にも行かず、このままではだめだと思いつつ、気が付けばすでに5か月が過ぎていて、丁度この時期に運命的な仕事との出会いがあり、楽しい3人のメンバーとの出会いも半年ほどで終わってしまったのでした。

 

後談になりますが、1年が過ぎたころに、ネクタイをした例の楽しいメンバー3人の内2人と難波でバッタリ出会うのですが、話を聞くと、3人共に正業に就いており、2人は会社員でもう一人は仕事で海外へ言っているとのこと。一体あの時期、あの時間は何だったのだろうと不思議に思うのです。