第五話「アメリカへ」
アメリカへ
独立して商売を始めるというのに、いつまでにという期限も無く、時間にも余裕がある、この際アメリカに行ってみたい、見てみたいという思いが募ってくる。
今しかない、幸いにも姉がサンフランシスコに在住しているのを頼って、観光だけでも良いしチャンスがあれば仕事も出来ればとの思いで一路アメリカへと旅立つのです。
姉夫婦の家に着くと2日目には姉が予定してくれていた車での1000キロの旅、サンフランシスコにからオレゴン州のポートランドに姉夫婦の愛車、リンカーンコンチネンタルで出発する。
道中の観光地では目を見張る景色に圧倒され、広大な原野を一日中走り、小さな田舎町にあるモーテルにたどり着く。その間、大自然のまっただ中では、蝶々の大群で前方が全く見えなかったり、快晴の中100メートル先は大雨で真っ暗、それを抜けるとまた青空、そんな初めての体験には大いに感激したのです。2、3日滞在し帰路に就くのですが、やはり同様で広い大地の様々な変化に感動も頂点に達していたのでした。
サンフランシスコに帰ると次は上の姉が住むオハイオへ向かいます。飛行機で約10時間の旅、アメリカの広さに只々驚くばかりでした。
サンフランシスコにて
結局、仕事に就くチャンスもなく商売のヒントも得られず、私はマクドナルドとフライドチキンとドーナツが日本に来ればきっとブレイクするであろうと思ったくらいで、結局滞在は合計で一か月ほどでしたが、広大なアメリカの地での自分自身が米粒のような存在だと思い知ったのでした。そして、日本に着き大阪に帰ってくると、我に返り、自分を取り戻したようで、米粒が小豆くらいの大きさになった自分がいたのです。